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column:ガウディのカサミラ 2009 年 6 月 7 日 日曜日

コラムその2
ガウディのカサミラ 装飾主義vsシンプル主義

イタリアに留学していた時、長期休暇にはヨーロッパ中を旅行しました。
その旅の一番の目的は名作と言われる建築を実際に自分の目で見ることでした。

イタリアのパンテオンやスペインのアルハンブラ宮殿と行った歴史的建造物から、
ルコルビジェ、ミースファンデルローエ等の近代の建築家の作品を巡りました。
そんな中で、私が一番強い衝撃を受けたのが今回取り上げるガウディの「カサミラ」です。


アルハンブラ宮殿(スペイン、グラナダ)

ガウディといえば有名なのはサグラダファミリアですが、有名でない分、カサミラの方が出会った時の衝撃が大きかったのかもしれません。
街を歩いて行くと、突然目の前に違和感の塊のような建物が現れます。
くねくねとうねった壁を持つアパートメント。
それがこれです。

ガウディのカサミラ(スペイン、バルセロナ)

周辺の建物は全て普通の直線で構成された建物であるだけに、より一層この建築物の異様さが際立ちます。
カサミラに近づいた時、私は不思議な感覚に支配されていました。
今までいた世界とはどこか違う世界に迷いこんだ感じ、そして心の奥から沸き上がってくるワクワクした気持ち、気がつけば数十分この建物を眺めていました。

私はこの建築を見るまで、装飾反対派でした。シンプルで美しければ、コストもかからないし、そっちの方が断然いいじゃないかと思っていました。しかしこの建築を見て新しい考えが芽生えました。
人の心を動かすほどの素晴らしい装飾であればそれはそれだけで価値があると。
見た人の心がワクワクする、その時点でもう価値が生まれているということです。

ここに装飾主義とシンプル主義の対立を解く鍵があると思います。つまり人の心を動かせない装飾は全くのムダであるということです。逆にコスト以上に人の心を動かすことができるならばそれは意味のある装飾だと言えます。
人の心を動かすという部分は個人差が大きいのでそこが難しいところですが、装飾はコストがかかる以上、そのコストと生み出す価値とのバランスが大切ということになるのではないでしょうか。

歴史を振り返ってみても、アールデコからアールヌーヴォー、モダニズムからポストモダンといった、建築、デザインの流れは明らかにこの装飾主義とシンプル主義の間を揺れながら進化してきたことがわかります。片一方に大きく針が揺れたときには、それを揺り戻す力が働くのが人間という生き物の特性なのかもしれません。

カサミラを見て以降、私も家具のデザインをする際には、基本はシンプルにしつつも、人の心をワクワクさせられるような造形、装飾ができないかと意識するようになりました。見ているだけで心がワクワクするような家具、そんな家具を作るのが私の家具作りにおける一つの目標です。

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