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筒井康隆の不条理世界 2010 年 10 月 4 日 月曜日

こんにちは、キムラです。

この前の土曜の夕方、お店からの帰り道、ラジオで”アヴァンティ”を聴いていたら、なんとテーマが一時間まるごと「筒井康隆」でした!

それを記念して今回は筒井康隆について書いてみます。

まずアヴァンティをご存知ない方のために説明すると、FM東京系列で土曜夕方5時から放送している番組で、毎回テーマに沿ってウェイティングバー”アヴァンティ”にて繰り広げられる客同士の会話に聞き耳をたてるというスタイルの番組で、幅広くいろんな知識に触れることができます。


アヴァンティ公式HP

筒井康隆になぜ反応したかと言えば、私が昔一番好きだった作家だからです。
高校から大学にかけて、当時の全作品を読破しました。

「時をかける少女」が一番有名ですが、小説としては他にも数々の名作を発表しています。
ジャンルでいうと一応SF作家ということになりますが、実際は多種多様なジャンルの作品を書いています。
SF作品も、妖精や怪物が出てくるようなファンタジー系ではなく、日常を少しずらしたような、社会科学フィクションとでもいうべきような作品が多いです。
そしてブラックユーモアと痛烈な批判精神に満ちているので、必ずしも万人に好かれる小説ばかりではありません。
「時かけ」は、ジュブナイルという児童文学で、筒井作品としてはかなりソフトで健全な小説になります。(ジュブナイルでは「ミラーマンの時間」という名作もおすすめです)

クリエイターに筒井康隆ファンが多いのは偶然ではありません。
私も、発想という面で相当な影響を受けていると思います。
常識を疑うこと、物事を違う角度から見ること、何にも囚われない自由な発想、など多くのことを学び、私の今の考え方の基礎になってるような気すらします。

一例をあげると、名作の「笑うな」。
タイムマシンを発明した男の話で、その男が向かったのは遥か過去でも未来でもなく、タイムマシンを発明した直後の時間。
そこで「タイムマシンを発明した」と友人に告白する状況をながめて笑いをかみ殺すという奇想天外な発想。
読む方にもセンスが求められます。


「笑うな」

以下、私のおすすめ作品を紹介します。

『乗越駅の刑罰』(文庫「懲戒の部屋」収録)
数年ぶりに降り立った故郷の駅で、理不尽な仕打ちを受けることになる男の話。ラストが予想外。

『マグロマル』(文庫「ベトナム観光公社」収録)
謎のキーワード「マグロマル」を軸に展開する宇宙人の会議。「マグロマル」とは何なのか、それがわかるのかわからないのか、結局訳がわからない話。

『トラブル』(文庫「ベトナム観光公社」収録)
人間の「おれ」を乗っ取った「私」が、同じく人間に寄生している宿敵と殺し合いをする話。スピード感がすごい。

『くさり』(文庫「くさり」収録)
地下で育てられた少女の話。途中で少女に関する衝撃の事実が何の脈絡もなく明らかになり卒倒。

『家族八景』(文庫「家族八景」
『七瀬ふたたび』『エディプスの恋人』と続くシリーズもの。人の心が読めるエスパーの七瀬が、家政婦として家族の嘘をあばいていくブラックな話八つを収録。

『残像に口紅を』(文庫「残像に口紅を」
一章ごとに文字(五十音)がひとつずつ消えていくという実験小説。「あ」がなくなると「愛」もなくなる。それがきちんと物語になっているのがすごい。ラスト数ページは袋とじだった。

昔の本は残念ながら現在入手不可能なものが多いですが、上記の文庫は入手できるようです。昔の作品を読まれたい方はブックオフで探すのが良いと思います。

女性の方には「家族八景」からの三部作をおすすめします。

秋の夜長に、筒井康隆おすすめです。

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