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column : 叙情的な家具 2016 年 9 月 19 日 月曜日

こんにちは、キムラです。

「叙情的な家具」を作ってみたいと思っています。
いやいつの日か、そういう家具が作れたらいいなと。

叙情的とは、叙事的が事実を表す表現という意味に対して、感情を表すような表現という意味になります。

私の考える叙情的な家具とは、合理的、機能的とはいえない面があっても、なぜか人の感情を動かし、その場の雰囲気を作ることができるような家具です。

その家具を見るだけで、使うだけで、心が和む、郷愁感でいっぱいになる、無性にワクワクする、そんな家具です。

機能に関係ない形態、装飾、色彩、などが重要な要素になってくると思います。



例を挙げます。

シャルロットペリアンのプルリマブックシェルフです

これは非常に機能的でもあるのですが、私はこれをすごく叙情的な家具だと感じます。
カラフルな色彩と、大胆な造形に心を動かされます。
置くだけで雰囲気を作ってしまう家具だと思います。



モーエンセンのJ39です。

これはとても郷愁的な家具です。
どこにでもありそうな、どこかで見たことがある、そんな家具ですが、これほど完成度の高いものはありません。
すごく叙情的です。



プルリマブックシェルフにインスピレーションを受けて、新しい叙情的な家具のデザインを一つ思いつきました。
それは、色があり、金属を使ったものです。
今年中には完成できると思います。

歴史に残るような叙情的な家具を作る、というのが私の仕事人生の一つの目標です。

column:キュレーション 2016 年 6 月 12 日 日曜日

こんにちは、キムラケイゴです。

キュレーションについて。

日経の現代アートに関する連載を非常に興味深く読みました。
それはどうやって現代アートの主流がヨーロッパからアメリカに移って発展してきたのか、というようなものでした。

そこでのキーワードが「キュレーション」でした。


ジャクソン・ポロック 『ナンバー17A』 224億円

ITの世界では情報を集めて整理して提供すること、という意味で使われるようですが、現代アートの世界では作品をわかりやすいように一般の人に伝えること、そのために展示会を企画して社会にアピールしていくこと、という意味で使われます。
キュレーションをする人がキュレーターです。

日本語で言うと学芸員となりますが、学芸員が主に美術館や博物館に所属しているのと異なり、キュレーターはフリーで活動したり、もっとアーティストと近い存在で作品をアピールしていくようなイメージです。画商やギャラリーがキュレーターをしたり、アーティストの奥さんがキュレーターとなったりもします。

そして、現代アートはキュレーションの歴史とも言えるほどキュレーターの果たした役割が大きかったようです。

Amazon.co.jp: キュレーション 「現代アート」をつくったキュレーターたち

そもそも価格があってないような現代アートをいかに解釈し、鑑賞し、評価されるべきなのかを、業界の人々そして一般の人々に知らしめるのがキュレーションです。それによって作品の評価は上がり、価格も上がっていきます。価格を上げることが目的の一つになることもあります。

そうやって価格を高騰させることに最も成功した例が先に示したポロックだそうです。奥さんが画壇の有力者に紹介することで徐々に人気があがっていき、20世紀において作品が最も高額な画家の一人になりました。


アンディ・ウォーホル 『8人のエルビス』 123億円

ポップアートの旗手、アンディ・ウォーホルは自分自身でキュレーションしたとも言えるでしょう。作品のオリジナリティもさることながら、セルフプロデュース能力が凄かったらしいです。



翻って、家具デザインの世界においてもキュレーションというものが重要ではないかと考えるようになりました。「名作家具のヒミツ」という本にも書いてありましたが今は名作家具として人気の家具でも、発売当初は全く売れずに廃番になったものも多数あったそうなので、いいものは必ず売れるという訳ではないのは間違いないです。それはアートの世界も同じで、逆に言うといい作品なのに日の目を見ずにそのまま歴史に葬り去られていったものも大量にあると推測できます。

自分の家具デザインに関してはそういう観点から考えて、評価されずとも諦めることなく、自らアピールするキュレーションに力を入れていきたいと思います。無料のホームページ制作サイトが充実してきたようなのでそろそろホームページを新しく作り直す予定です。



先日、福岡市美術館に行ってきました。
ここは常設展示の現代アートが充実しています。
草間彌生のかぼちゃをはじめ、アンディウォーホルの2人のエルビスや、ジョアンミロ、サルバドールダリ、ピカソ、バスキアの原画を見ることができます。行くたびに刺激を受けます。おすすめです。

column:五輪エンブレム 2015 年 8 月 30 日 日曜日

こんにちは、キムラケイゴです。

問題が続出している五輪エンブレムについて書いてみたいと思います。

まず、最初の盗作騒動だけならシンプルなデザインなら似ることもあるし、ある程度仕方ないかなと思いました。ただ本来なら似ているものが他にないようなデザインを生み出すべきですし、選考委員もそういうものを選ぶべきという観点からむしろ選んだ方に責任があるのではないかとも思いました。

そしてサントリーのトートバッグ盗作騒動が起きました。
これはデザイナーとして致命的、最低最悪の事件でした。
この時点で五輪エンブレム問題は新たな段階に入ったと思います。
つまり、エンブレムが盗作かどうかという問題から、盗作するようなデザイナーのデザインを使っていいのか、という問題です。
答えはNOだと思うのですが、いまだに撤回する様子は見られません。



エンブレムをデザインという観点から見てみたいと思います。


これは亀倉雄策氏の前回の東京五輪のエンブレムです。
デザインの教科書には必ず載っている名作中の名作です。

今見ても全く素晴らしい、そして恐ろしいデザインです。
ここまで思い切ったことをしてもいいのか、という畏怖の念すら抱かせるデザインです。

赤丸を極限まで大きく配置しているというのがこのデザインの肝であり、他には絶対ないだろうと思わせるオリジナリティの部分です。
普通の感覚だとあまりに大きすぎるしバランスが悪すぎる、という意見が出そうですが、あえてこうすることによりオリンピックの圧倒的な力強さ、迫力、躍動感、を表現しているそうです。
また通常なら五色の五輪のマークをあえて一色にすることによって赤丸を際立たせています。この赤丸はもちろん日の丸の意味もありますが、燃えたぎる炎、をも表しています。

これと比べると今回の五輪エンブレムがいかに表面的で躍動感にかけるか、ということがわかると思います。特に原案はひどいですね。けん玉大会のエンブレムだったらちょうどいいのかもしれませんが。。

エンブレムにとって一つ重要な要素はメッセージ性であり、例えば亀倉氏のデザインはパっと見ただけでスポーツの躍動感、ダイナミックさが伝わります。
それにひきかえ今回の五輪エンブレムはこのメッセージ性が圧倒的に不足しています。佐野氏はTOKYOのT、TEAMのTなどと言っていましたが、それは説明があって伝わることで、その理論ならTOILETのT、TIGERSのTでも何でも当てはまるということになります。パっと見てそこからメッセ−ジが伝わらないとダメだそうです。



こちらは私の好きなバルセロナ五輪のエンブレムです。
シンプルながら躍動感が伝わり、さらにバルセロナ出身の画家ミロの画風も取り入れているような感じです。



これも亀倉氏の東京五輪用ポスターです。

こちらも名作中の名作です。
何枚か写真をとり、その中で全員の顔が奇跡的に写っているこの一枚を採用したそうです。
素晴らしすぎます。

column:うるさいデザイン 2014 年 9 月 15 日 月曜日

こんにちは、キムラです。

うるさいデザイン、ということを考えています。

例えば、、

これはデザインの歴史の教科書には必ず載っているイタリアのデザイナー、ソットサスが中心となって作られたデザイン集団メンフィスのカールトンという棚です。
シンプルなだけのモダンデザインより過剰なくらいの装飾がある方がいいのではないか、というポストモダンの時代を象徴する作品です。

歴史を振り返ると、世の中の景気が良くなってくると装飾文化が台頭してきて、景気が悪くなるとシンプルさが尊ばれるという、これは当たり前の話かもしれませんがそうなってるようです。

そして現在、世界の景気が少しずつ上向いて来ているのと一致して、デザイン界も徐々に装飾文化が蘇ってきているように感じます。

そんな中、私の中にもただシンプルなだけではない少しうるさいくらいのデザインの家具を作ってみたいという思いが湧いてきました。うるさいといっても、滅茶苦茶なデザインではなくて、ある程度の規則を持った上でのうるさいデザインです。

それと数年前からの顕著なデザインムーブメントとして、クラフトへの回帰というものがあります。手作り感のあるものや、手仕事でしかできないもの、がフィーチャーされています。これはスマホに代表されるIT機器が身の回りに増えたことへの感覚的な防衛反応かもしれません。


こちらは今年発表されたヒノキ工芸とピーターマリーゴールドによるベンチです。日本的発想、クラフト感が満載です。

私の作る家具は嫌でもクラフト的になってしまうのですが、特に一部に彫刻的なギミックを加えるとか、そういう形で時代にあったクラフト的であり、かつ少しうるさいぐらいの家具をこれから作ってみたいと思ってます。
アイデアはいくつかあります。今年中にはいくつか作る予定ですのでご期待ください。

column:ヨーロッパ建築紀行 2013 年 5 月 5 日 日曜日

ゴールデンウィークなので特別コラム「ヨーロッパ建築紀行 近代建築編」です。

23歳の時にデザインを勉強するためにイタリアに留学しました。
デザインの勉強以外にも留学の目的はいくつかあったのですが、その中の一つがヨーロッパの名建築を生の目で見るというものでした。
留学前に「ヨーロッパ建築案内」という本を図書館で見つけたので全てコピーして持って行き、名建築を訪ねました。
今回はそんな中から印象に残った近代建築(20世紀以降)を紹介します。

何度か長い休みがあったのでヨーロッパをバックパッカーとして回りました。
一番長い旅はイタリアからフランス、スペイン、ポルトガル、ドイツ、スイスと6カ国を回る旅でした。それ以外にもチェコ、ハンガリー、オーストリアの中東欧3カ国を巡る旅、ギリシア、トルコへの旅などをしました。イギリスと北欧には行ってませんが20代の時に多くの国に行けたことは今思ってもほんとに良かったです。

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近代建築における最も革新的な出来事は、鉄筋コンクリート、大型強化ガラスなどの新技術によって新しい構造、新しいデザインが可能になったことです。土地に制限されない工法はヨーロッパを起点に世界に広まりインターナショナルスタイルと呼ばれました。

◆サヴォア邸  ル・コルビジェ <ポワシー、フランス> 1931

インターナショナルスタイルの代表的建築家がコルビジェであり、その代表作がこのサヴォア邸です。
パリの郊外にあり、パリから電車に乗ってわざわざ見に行きました。建物は中が見学できるようになっていて、建築を勉強していると思われる学生が多く見に来ていました。一階がピロティになっていて、中空に浮かんでいるような構造がインターナショナルスタイルの一つの特徴です。日本で言えば丹下健三設計の広島平和記念資料館が同じような構造です。
今見ても新鮮さしか感じさせないところはさすがです。

◆バルセロナ・パビリオン ミース・ファン・デル・ローエ <バルセロナ、スペイン> 1929

バルセロナ万博のドイツ館として建てられた建物で、現在はオリンピック記念公園の一画にあったと思います。
平面で構成された平屋の建物で、その平面が微妙にずらされて配置されているため、入館者は奥行きや視覚的な面白さを感じる事ができます。
この建物に置くためにデザインされたのがバルセロナチェアです。今では建物よりこの椅子の方が有名ですね。


◆ビルバオ・グッゲンハイム美術館 フランク・O・ゲーリー <ビルバオ、スペイン> 1997

これは現代建築ですが、ちょうどできた直後に行くことができました。スペイン北部のバスク地方にあるのでポルトガルからパリへ向かう途中にこの建築を見るためだけに街に立ち寄りました。
フランクOゲーリーは、20世紀末の建築界に相当なインパクトを与えた天才建築家です。どうやって設計、構造計算などしているのか想像がつきません。
モダニズムからポストモダンの次の建築の流れとして、脱構築主義(デコンストラクティビズム)と呼ばれるそうです。コンピュータ技術の進化が可能にした建築だとも言えると思いますがゲーリーの個人的才能の部分は非常に大きいと思います。

フランクOゲーリーのその他の作品



あえて歪ませたりねじったり、見る人に違和感を感じさせるという点では、ガウディの『カサミラ』はまぎれもなく脱構築主義の走りだったと言えるかもしれません。コンピュータのなかった時代に作ったのがほんとにすごいです。カサミラに関する記事はこちらをご覧下さい。



建築はその建築単体だけではなく、建築の置かれている環境、街並み、そして空気感も含めての建築なので、やっぱり現地に行ってみないと得られないものはあると感じた建築探訪でした。